日本文化の源流を求めてシルクロードを旅しつづけた平山は、ライフワークであった薬師寺玄奘三蔵院の大唐西域壁画を描き終えた後に、日本の古都である京都に目を向けました。
平山が現代の姿で洛中洛外を描くきっかけになったのは、「時移り、人変われど、日本の文化を育んだこの町は、私たちにとって永遠の都であると思う。世界が認めた「文化」としての京の町は日本民族が永い年月をかけて造りあげた芸術作品といえよう。私たちはこの町を誇りをもって次の世代に無事伝えなければならない。」からでした。
「私は京の町に限りない感謝と愛を込めて筆を執った。自分の生きた時代の京都を自分の手で描き残す。私はこのたびの作品を総称して「平成の洛中洛外図」とした。」と平山が述べたシリーズ作品を中心にご紹介します。
主催
公益財団法人平山郁夫美術館
後援
広島県、広島県教育委員会、公益財団法人ひろしま文化振興財団、尾道市、尾道市教育委員会
会場
平山郁夫美術館(広島県尾道市瀬戸田町沢200-2)
入館料金
一般920円、高大学生410円、小中学生210円
開館時間
午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
展示構成
- 第1展示室:平山郁夫の歩み
- 第2展示室: 古都を描く
- 第3展示室:シルクロード
主な展示作品
【平成の洛中洛外(右隻)】2003年
平山が現代の姿で洛中洛外を描くきっかけになったのは、「時移り、人変われど、日本の文化を育んだこの町は、私たちにとって永遠の都であると思う。世界が認めた「文化」としての京の町は日本民族が永い年月をかけて造りあげた芸術作品といえよう。私たちはこの町を誇りをもって次の世代に無事伝えなければならない。」からであるという。
続けて画家は「私は京の町に限りない感謝と愛を込めて筆を執った。自分の生きた時代の京都を自分の手で描き残す。私はこのたびの作品を総称して「平成洛中洛外図」とした。」と述べている。
【平成の洛中洛外(左隻)】2004年
日本の室町時代に「洛中洛外図」と呼ばれる画題の作品がある。当時の都である京都の名所や神社仏閣、年中行事、市井の人々の様子が俯瞰的に描かれた絵画である。
平山郁夫も室町時代の画題の一つである洛中洛外図をテーマにした作品を描き、2003年に≪平成の洛中洛外(右隻)≫、2004年に≪平成の洛中洛外(左隻)≫を発表した。これらの作品と合わせて画家は、個々の名所や神社仏閣、この地の伝統文化を担う人々にも目を向けて描いてきた。
こうした着想は、シルクロードの集大成ともいうべき≪大唐西域壁画≫(2000年・薬師寺玄奘三蔵院)の制作が終わりにさしかかった頃とも言われ、日本文化の源流を求めてシルクロードを旅しつづけた平山は、ここで改めて日本の古都である京都に目を向けたのである。